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クライアントインタビュー・導入事例

クライアントインタビュー・導入事例

社会福祉法人敬仁会 理事長 藤井啓子 氏(理事 ル・ソラリオン西新井 施設長 戸﨑篤幸 氏)

倉吉の地域を守り続けて

―日本経営とのかかわりについて教えて下さい。

藤井理事長 日本経営さんの人事評価制度セミナーに参加していたのがきっかけです。その後、賃金制度を含む人事制度全般、そして研修でもお世話になっています。

 

―なかなか手がつけにくい分野でもありますが、積極的に取り組もうとされたのはどういうことからだったのでしょう。

藤井理事長 周辺の法人もそうですが、かつては人事制度や給与体系というのは県の体系をそのまま導入していました。一度、独自の人事制度を構築したのですが、当時は、まず経営圧迫という視点から給与体系や人事制度を手直しする範囲にとどまっており、人材の育成や教育、そして法人の理念の実現といった視点までは、制度として十分には織り込めていませんでした。
しかし、法人の成長を考えたときに、希望を持って働いてくれる人材の育成は不可欠ですし、それが給与体系にもリンクしていくことが必要だと考え、日本経営さんにお願いしたという次第です。

 

―法人の理念として「テンダー・ラビング・ケア」を掲げられていますが、どういう想いが込められているのでしょうか。

藤井理事長 あの有名な日野原先生が“新老人の会”立ち上げで来鳥された折に、社会医療法人仁厚会のホスピス病棟の現場を案内させて頂いたことがありました。
ご著書の中でも、特に「テンダー・ラビング・ケア」の考え方に共感し、また日野原先生の優しく寛容なご姿勢に感銘を受けましたので、特別許可を頂き用いさせて頂きました。

 

― 社会医療法人の理念にも、社会福祉法人の理念にも同じように「主役は患者、利用者」という言葉が出てきます。

藤井理事長 医療の現場でも福祉の現場でも、主役の立場が得てして患者、利用者以外のものにすり替わり易い面があります。あくまでも主役は患者さん、利用者であるという、仁厚会現理事長の職員への戒めの言葉であると思います。
私たちは、昭和58年に鳥取県で初めて民間の特別養護老人ホームを開設しましたが、当時の鳥取県の社会福祉はほとんどが行政主導で展開されていました。そこに民間の社会福祉法人として初めての参入となったわけですが、以来、顧客満足とコンプライアンスの徹底は、地域社会から信頼を得るための大切な方針として実践しています。

 

―鳥取の中でも倉吉市を中心とした中部医療圏は医療提供体制としては厳しい状況にあります。この医療を整備しようということで医療法人を作られたのですか。

藤井理事長 戦後10年程の昭和30年に社会医療法人仁厚会が、昭和33年に社会福祉法人敬仁会が設立されました。戦後の混乱から立ち直りかけた当時にも、ここ鳥取県にはまだ社会から取り残された人々がありました。それが、精神障害者であり、知的障害者であり、生活困窮者でした。始まりはそれらの方々への創業者の愛情とか思い入れであり、救済のための福祉的意味合いが随分強いものであったと思います。

地域ニーズに応え、培ってきたサービスを展開

―医療では倉吉から米子、社会福祉法人では東京にも進出されているわけですが、これらはどのような基準で行われているのですか。

藤井理事長 当初は倉吉を中心とする地域に事業所・サービスを集約していった歴史だったのですが、平成12年に名和地区という倉吉から少し離れた場所にル・ソラリオン名和(介護老人福祉施設)を開設したことが始まりでしょう。当時、介護保険がスタートした時期で、各市町村が高齢者への対応に迫られていた時期でもありました。すでに敬仁会も仁厚会も高齢者への取り組みを実践していましたので、悩みはしましたが、地域の要望、ニーズにお応えするという形で、近隣の地域への事業展開となっていったということです。医療法人の方でも、地域住民の皆様と地域医師会の要請に応えて米子市の医療法人の経営を承継させて頂きましたが、ご利用者や地域の方々が求めておられるもの、また時代の要請に誠実に応える形で、次々と展開してきた結果です。ただし、福祉面と経営面とのバランスを常に考えながら、一方に偏ることのないように気を付けています。

 

― 介護事業の方は、平成19年に東京の葛飾、平成23年には西新井へと事業展開されていますが、戸﨑施設長はいつから取り組んでおられますか。

戸﨑施設長 この4月から西新井の施設長をさせて頂いてますが、それ以前には法人本部のスタッフとして、葛飾の施設開設にあたって平成16、17年あたりから東京での仕事に携わってきました。現在の西新井の施設は平成23年4月開設ですが、その初年度は施設長を勤め、再度、施設長と赴任しています。

 

―スタッフとしては、東京への進出はどのような思いで受け止められていたのでしょうか。

戸﨑施設長 医療には基準病床数、介護には参酌標準等で定員規制があります。鳥取県では平成17年、18年あたりで既に定員がいっぱいになっていました。中でも、鳥取県中部地区は日本全体に先行して高齢化が進んでいますので、高齢者へのサービスをさらに広めたい、そして高めたいという強い思いがありました。当時、第3期介護保険事業計画前夜だったのですが、いろんなところから、全国各地のニーズやサービスの不足に対する要望の情報提供があり、東京に関連するものがかなり多くありました。それまで倉吉の地で培ってきた私達のサービスが、本当に他の地域でも通じるのか試してみたいという思いもありました。

サービスを支え、向上させるISOの取り組み

―実際に東京で事業を運営され、ご苦労されたことは?

戸﨑施設長 やはり新しく採用した職員さんの教育です。もちろん、これは今でも試行錯誤をしています。ただ、これについては、ISOが非常に役に立っています。

 

―ISOはどのような経緯で導入されたのでしょうか。

藤井理事長 倉吉地区だけで事業展開していたころは、何もしなくとも顔の見える関係で意思疎通できていたものが、他の地区に展開したとたん、難しくなりました。コミュニケーションが希薄になると、その施設独自のものが生まれてきました。しかし、地域が離れていてもサービス内容が施設ごとに違うということは法人全体にとっては致命的です。このため平成15年に先行して「ル・ソラリオン名和」で取り組んでもらい、その後、法人全体にISOを適用していきました。現在は、各施設独自の良いものを、逆に法人全体に戻すということもやっています。

 

―ISOは実際に運用するのが難しいとする声もありますが。

藤井理事長 確かに簡単ではないと思います。私も取り組み当初は迷いもありました。
しかし、運用がうまくいけば、これほど効果的な仕組みはないと思っています。たとえば、年初に職員に向かって理念、方針、目標といったことをお伝えしますが、これらがISOに組み込まれることで、実に効果的に職員の中に浸透していきます。もし、私どもの法人に、理念やサービスのずれが少ないとしたら、何を基準としてサービスをし、事業を行っていくかということをISOの仕組みで担保しているからではないでしょうか。最初は難しいかもしれませんが、仕組みとして定着し、ルーチン化されると、こんなに楽なものはありません。

 

―具体的には組織的にどのような取り組みをされているのでしょうか。

戸﨑施設長 ISO運営委員会といって、各事業所のサービスの責任者が集まって議論する、あるいはサービスマニュアルなどの点検、見直しの仕組みを設けているのですが、それがうまく機能しているのかなと感じています。事業所というのは組織的にはどうしても縦割りの姿になってしまいます。そこにISOを導入することで、横串を通すような仕組みにできているのではと感じています。ただ、もちろん、ISOという仕組みだけで担保できるわけではなく、東京で採用した職員さんを、短期間ですが研修として鳥取に行って頂いたり、年に1回、各施設から集まって改善事例等を発表する機会を設けたりする中で、一体感の醸成や理念の浸透を図っています。

 

― 平成 27年度も東京で新たな施設を開設される予定と伺いました。ぜひとも敬仁会としてのサービス提供、運営の仕組みを十分に取り入れられて、地域に良いサービスが提供されることを期待しています。本日は貴重なお話しを伺い、ありがとうございました。

(文責:編集部)

◆社会福祉法人敬仁会 概要

〒682-0023 鳥取県倉吉市山根55番地 TEL 0858-26-3864
■ マグノリア… ショートステイ/認知症対応型グループホーム/老人デイサービス/認知症デイサービス他
■ ル・ソラリオン…介護老人福祉施設/ユニット型介護老人福祉施設他
■ ル・ソラリオン名和…介護老人福祉施設他
■ ル・ソラリオン葛飾… 介護老人福祉施設/ショートステイ/認知症デイサービス/ケアハウス他
■ ル・ソラリオン西新井… 介護老人福祉施設/ショートステイ/認知症デイサービス
■ ル・サンテリオン… 介護老人保健施設/ユニット型介護老人保健施設/ケアハウス他
■ ル・サンテリオン東郷… 介護老人保健施設/認知症対応型グループホーム/小規模多機能型居 宅介護/サービス付き高齢者向け住宅他
■ 敬仁会館… 障害者支援施設 敬仁会館/就労継続支援B型・就労移行支援 ワークサポート敬仁会館他
■ ゆりはま大平園…救護施設/就労継続支援B型ハッピーバーディー
■ よなご大平園… 救護施設/就労継続支援B型 よなご大平園/生活介護他
■ ババール園…保育所/倉吉市病児保育委託事業
■ シルバー倉吉…養護老人ホーム/ホームヘルプサービス

【関連法人】
社会医療法人 仁厚会
〒682-0023 鳥取県倉吉市山根43番地
TEL 0858-26-1012(代表)
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