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クライアントインタビュー・導入事例

クライアントインタビュー・導入事例

[Navigator]KKR 吉島病院 院長 奥道恒夫 先生

 「看護部から言いたいことが沢山あるだろうから、どうぞ聞いてください。」訪問し、ご挨拶した直後にそう切り出したのは、国家公務員共済組合連合会 吉島病院(広島県広島市 219床)の院長である奥道恒夫(おくみち つねお)先生である。今回のインタビューには院長、事務部長含め4名もの方々に同席いただいた。こちらの方々にNavigatorで今回表彰されるに至ったその要因と院内の取り組み状況について伺った。

 

「役立ったこと」を形にしてフィードバックする取り組みが「仕事のやりがい」に繋がっている。

 

 まず、仕事のやりがいのポイントが高かった点について、どのような取り組みをされているのか伺った。その内容はいたってシンプルだ。「役立ったことを形にして職員にフィードバックしています。」そう話すのは、看護部の成戸看護部長である。

 

 当院の看護部では、平成18年前から形にしてフィードバックする取り組みを継続し、改善を重ねているのだという。具体的には手書きのコメントや頑張っている職員の写真など、職員の取り組みをその都度記録に残し、資料としてまとめ、職員にフィードバックをするという取り組みだ。このような取り組みを継続してきたのだという。

 また看護部では、5年前からはポートフォリオを作成し、1年間で取り組む目標を一人ひとりが掲げ、上司と相談しながら取り組んでいるという。これも「形にしてフィードバックする」取り組みの進化した姿だ。なぜ「形にしてフィードバックする」ことで、職員が仕事のやりがいを感じる要因は何であろうか。さらに深く伺ってみた。成戸看護部長によれば「『何に取り組むかを明確にすること』と『アピールできる場をつくること』がやってみてよかった点。」という。どうやら「形にする」前のプロセスにも、職員のやりがいを引き上げるポイントがあるらしい。その答えは「アピールできる場をつくり、とにかく褒める」ことだった。

 年初めに設定した目標について成果をアピールする12月の発表会では、「スタッフ間で褒める」そして「『こうしてみたら』と提案する」ことを徹底している。また、一番優秀な頑張りを見せた職員には「ピカイチ賞」を図書券と共に渡しているのだという。「発表会では、内容で1番の人をやっぱり表彰してあげたいです。でも、1位、2位と直接的な言い方で順位付けをしてしまうと少しきついイメージになってしまいます。だから、ピカイチという表現にしました。」ということだが、こうした細かなこと一つ一つに職員を大切にする気配りが伺える。

 しかし、この発表会は初めからうまくいっていたわけではない。始めた当初は、職員からの抵抗もあったらしい。新しいことを始めるときには、よくあることだ。そのような中でも、「やろう」と積極的に取り組んでくれた職員がいたこともあり、5年が経つと、職員全員で「次は何しよう」という話が自然とできるようになったという。そして今では、看護部以外でも「業績発表会」を開いているらしい。

 また当院では、業務改善提案を推奨しているという。提案するというプロセスに重きを置き、良い提案については、忘年会の和やかな雰囲気の中で表彰するのだという。「褒められる人がいると『私も』と競る人が出てくるでしょ。私たちの職場では、提案したいという思いや、役立ちたいという思いを自然と持てるようにしています。」成戸看護部長は語る。

 

組織風土として「否定せずに聞く」「言いやすい雰囲気」が定着・浸透している

 

クライアントインタビュー・導入事例 役立ったことを形にしてフィードバックする取り組みを支えているのは、この病院に定着している、経営層や役職者等の「否定せずに聞く」文化だという。この文化は、奥道院長が当院で勤務し始めた30年も前からずっと変わらずに続いている文化だという。この「言いやすい雰囲気」は事業の展開にも一役買っている。その話を奥道院長、宇山事務部長、成戸看護部長、御厨看護部次長は次のように語る。「訪問看護ステーションを始めたい」そう看護部で提案した一般職の看護師がいた。その提案を受け止めた看護部はさらに院内全体に提案し、最終的には病院の方針として委員会で決まったというのだ。その提案がきっかけで、今、訪問看護ステーションが運営されている。

 そして驚くことに、良いと思ったことは自由に提案できる、院内のこの自由度の高さは、意識することなく自然とできているのだという。

 

職員の「大事にしたい」という思いが、この職場で働くことに対する誇りとなっている

 

もともと結核を治療する病院として開設された吉島病院は、昔から呼吸器には強みを持っている。近隣の住民の間では「肺のことだったら吉島に行け」という言葉も交わされているらしい。患者の認知度が高いことが伺える。また、研修医や看護実習生の受入れ時にも、呼吸器に強みを持っていることを直接伝えている。そして、看護部やその他の職員の頑張りを院長が外で自慢しているという。こうしたことが職員の誇りにつながっているようだ。

 院内の風通しのよさも職員を大切にしているというメッセージを伝えることにつながっている。奥道院長は「例えば、職員が丁寧に患者対応をしているところを見かけたら『丁寧に対応してくれているね』と職員に直接伝えています。」という。職員に対してのダイレクトなねぎらいや声かけは、職員を大切にしているメッセージとして伝わっているのだろう。また、直接的なメッセージだけでなく、毎月の給与明細に院長のメッセージを同封しているという。

 上からも下からも相互にメッセージを伝え合える風通しのよい組織風土は自然にできたということだが、やはり一人ひとりの気配りや心がけの賜物であろう。

 

病院機能評価のフィードバックも良好で、今後はNavigatorで意欲・満足共に「5」以上を目指す

 

 病院機能評価の審査では、Navigatorの結果を活用したらしい。「院内の取り組みについて、サーベイヤーから色々と褒められた。」奥道院長は嬉しそうに語る。また、看護部長の成戸様はこう付け加えた。「サーベイヤーからアドバイスを受けた『笑顔ロード(職員の笑顔の写真を廊下に張るもの)』を応用した取り組みを今後検討します。」進化はまだまだ終わりそうにない。

 「Navigatorで、『仕事のやりがい』と『誇りと帰属心』、『上司信頼』が高かったのは嬉しかった。特に、『誇りと帰属心』は理念の実現を大事にしている私にとって、非常に嬉しいことだった。今後は、Navigatorの『意欲』『満足』共に5以上の評価になるよう院内で取り組みます。」奥道院長は、インタビューをこう締めくくった。

 

(文責:日本経営戦略人事コンサルティング)

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