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クライアントインタビュー・導入事例

クライアントインタビュー・導入事例

[介護福祉施設 導入事例]デイサービス

~「稼働率向上とそれに伴う人材育成」の強化支援

高齢化社会の進展に伴い、介護サービスの需要は高まる一方で、介護保険の改正等により、市場変化は激しく、介護事業所における経営問題や人材育成におけるご相談を多くいただいております。

 

今回は、関西地区にある特別養護老人ホーム(入所100床 短期入所20床)併設のデイサービス(定員35名)における、「稼働率向上とそれに伴う人材育成」の強化支援をさせいただきましたので、その取り組み内容をご紹介いたします。

稼働率向上における強化支援の取り組みが始まる前、デイサービスの稼働率は60%前後という状況でありました。
当時、デイサービス責任者に着任したばかりの職員の、現在にいたるまでの取り組みと想いをまとめました。

 

デイサービス責任者、着任時は仕事を引き継いだものの、「みんなをどうまとめたらいいのか」「事故やクレームの対応はしっかりできるのか」すべてにおいて不安がありました。自分が上司の立場に立って、初めて知ること、気づくことが多くありました。これまでの自分は答えを求めていただけでありましたが、これからは自分で答えをだしていかなければならないと、強く感じました。

ある日、施設長から「デイサービスの収支が赤字なのは知っているか」と言われた時、心の中では、「自分は利益を出すためにこの仕事をしているのではない」と、業績をあげる意味や利用率向上の必要性について理解することはできていませんでした。

 

◆「稼働率向上とそれに伴う人材育成」の強化支援

なぜ、利用者に選ばれる施設にならなければいけないのか。なぜ、外部への営業活動が必要なのか。

 

それは「自分たちが地域の中で役立つ存在であり続けること」。これが自分たちの存在理由であることに気がつきました。そのことに気づいてからは、やるべきことが本当に多く、愕然としましたが、仲間と力を貸し合いながら頑張ってきました。

 

このように気づいてからの取り組みからは、たくさんのことを学びました。その中で特に気づき、学んだことは、「相手のニーズに常に関心を払うこと」、「成果を出すために自分から働きかけ続けること」、「頭で考えすぎず、とりあえず行動してみること」、そして何より、「自分を支えてくれている事業所のすべての皆様への感謝」でした。
周囲への感謝を胸に、これからも地域で愛される施設づくりに全力で取り組んでいこうと強く思います。

 

ここからは、実際に職員の方々がこれからも地域で愛される施設づくりのために全力で取り組んできた内容をお伝えしていきます。

 

◆ミッションを与えながらの次世代職員の育成へ

最初に施設に訪問させていただき、施設長から、同法人が地域のニーズに応える法人として事業拡大をされてきたことや、法人の永続的発展のために新卒採用を積極的に取り組まれていることと伺いました。
その一方で、「ご利用者中心で自ら考え行動できる“人づくり”」について課題をお持ちであることもお話しいただきました。

 

かつてのデイサービスや施設サービスは営業をしなくても利用者が来ていましたが、時代の流れとともに、「介護事業所であっても営業をする時代になった」と、施設長自身が危機感をお持ちでした。また、その危機感を施設長だけがもつのではなく、職員全員が共通認識として、自分たちで考え、行動(営業)できるように、そして、このデイサービスの運営を担えるまでになってほしいという想いをお持ちでいらっしゃいました。

 

しかし、同施設は比較的古くからある施設であるため、教育においても、営業においても、これまでの考えに染まってしまい、つくられた環境の中で仕事をする職員の方が多くいました。そのため、次世代を担うはずの職員の方々も「自らで考え、行動をする」ということがなかなかできていませんでした。

 

そこで、弊社がデイサービスの稼働率向上に向けた事業支援を通して、職員一人ひとりがどのようにすれば法人・施設を地域の方々に今まで以上にご利用いただけるかを自ら考えて、行動する人づくりに支援させていただくことになりました。(図1)

 

◆デイサービス事業強化を核とした“自ら考え行動する人づくり支援”

まずは従来の営業活動内容をヒアリングさせていただき、その後、実際の営業に同行させていただきました。そうした中で分かったことは、「営業」における意識と行動に問題がありました。

 

これは、どこの事業所でも見受けられることですが、下記のような自己満足の営業になっていたり、そもそも営業で何をすればいいのか分かっていなかったりといったことでした。

 

  • 営業用の配布チラシはイベントの案内ばかり
  • 施設紹介において「何でもできます!」と結局何ができる施設なのか分からない
  • 顔を出せば、「営業」になると思っている
  • ほとんどの職員は「あいさつ」「パンフやチラシ配り」だけで精一杯

 

また、地域でのポジションは、現状どうなっているかというところにも目を向け、マーケット分析を行いました。
そうすると、直近の3年間、外部のケアマネジャーからの紹介が減っていたり、「昔からある法人さん」というイメージだけで、ケアマネジャーとの関係構築が全くできていないという現状が見えてきました。

 

そもそも福祉の事業ですから、当たり前に営業という言葉自体に違和感、あるいは、嫌悪感を感じる人もいます。しかしながら、利用者を獲得しない(紹介をもらえない)ことには保険給付も得られません。営業活動を行わなくて良い、ということはなく、事実としては、いわゆるケアマネジャーとの関係構築や既存の利用者様の満足度をいかに上げられるかが、デイサービスの営業活動になっているということは否めないのです。しかし、ただ営業活動をすれば良いのかというとそうではありません。
同施設の場合、一番の課題は職員自身が自分たちの施設は「何を提供できる施設なのか」ということが明確に分かっていなかったことです。

 

営業戦略を立案する上で、もっとも重要なことは、「施設のウリを明確化」するということです。
同施設には武器がないわけではなく、武器となる財産はしっかりとあるにも関わらず、それが可視化されていなかったことが大きな課題でした。

 

◆現場職員による職員のためのプロジェクトメンバーを発足

このようなことから、稼働率向上における、営業体制・内容の見直しが本格的にスタートしました。
まずは、次世代を担う職員の方々だけでプロジェクトメンバーを発足させ、現状の課題と今後の目標を明確にしていただきました。(図2)

ただ目標を掲げるのではなく、その目標達成に向けて、どのような行動をとる必要があるのか、といったところまで、職員の方々で計画を立てていただきました。

 

プロジェクトメンバー発足から約2ヶ月で現状分析、営業戦略、ウリを明確化し、次のステップとして、実績・先行管理体制の強化を図りました。
ここをいかにスピード持って行えるか、また、STEPごとに必ず目標を掲げることを徹底しました。
稼働率を向上させることは、あくまでも手段であり、本来の目的は「地域で一番のサービス力を持って、利用者様、ご家族にとって真になくてはならない事業所を目指す」ということを目標として掲げ、それと同時にプロセス目標も明確にしてもらいました。(図3)

たとえば、事業所のウリを現場の方々で洗い出したり、具体的な月次目標設定を行ったり、毎月の営業訪問先へのアプローチを明確にしたり、行動計画と課題ごとの施策も同様に掲げていただきました。そうして体制を整え、プロジェクトメンバーだけではなく、現場の職員の方々とも共有し、理解を得て後、役割分担も明確化。組織の仕組みを職員の方々でつくっていくこととなりました。

 

◆プロジェクトを重ねるごとに職員の方々の意識と行動に変化

プロジェクトメンバーの方々もSTEPを重ねるごとにサービス改善、営業意識を高めていき、ある程度の行動基盤が出来上がってきました。また、同時にそれぞれが自身の施設(サービス)に自信を持ち、今までただ営業をしていた時間を自分たちのウリを最大限に活かした、効率的かつ効果的な営業を行えるようになりました。

 

営業に対する本来の目的、目標を明確にすることで、自分たちのサービスに対する思いや施設に対する思いが従来よりも強くなり、それが行動変容につながるのです。そうすると、おのずと会議の場であっても、自分たちのアイデア(意見)が出るようになったり、営業を積極的に行うようになったり、なにより利用者目線でのサービス提供ができるようになり、職場の活性化へと繋がり、サービスの質向上へと繋がっていきます。こうした積み重ねが、成果として数字に反映されるようになりました。(図4)

 

現在は、今後さらに成長・発展していくためにも、新たな課題見出し、それぞれが自身で考え、行動し、課題解決に取り組んでいらっしゃいます。 数字を挙げることはもちろん大切ですが、経営者層が決めたことをただ指示するのではなく、全職員が自らで決断し、行動できる組織づくりが大切です。

 

今回の提案内容は利用者満足向上を実現するための土台を固める作業であり、その結果として、収益の向上の成果を可視化する取り組みとなりました。

(文責:日本経営 介護プロジェクトチーム)

 

 

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