カテゴリ: 投稿者:H.T. さん 医師評価について 病院で医師の業績評価を行いたいと考えているのですが、どのような項目が望ましいのでしょうか。 質問日:2015-08-20 回答には会員登録が必要です
回答1 NK倶楽部 さん 業績評価を実施する場合、その項目の設定に関しては大きく以下の2つの設定方式が想定されます。 ①成果項目設定方式 1点目は、結論としての医業収益(利益)を評価する方式です。医業収益を上げる方法などについては、当人の責任範囲とする考え方で、収益を上げるプロセスは当人の責任という考え方になります。 ②重点項目設定方式 2点目は、 患者数、診療単価、手術数、紹介数、検査件数など、病院の戦略目標の達成や医業収益の構成項目を重点 化し、評価項目とする方式です。各評価項目が高い評価になれば、必然的に戦略目標の達成や医業収益の向上につながるという考え方になります。 医師の業績評価にあたっては、例えば外科のように売り上げを上げやすい科もあれば麻酔科のように売り上げを上げにくい科も存在するため、各診療科の特性を考慮した上で、上記2点目の重点項目設定方式で設定することが重要です。 診療科に求める内容は各病院の事情によるところも大きいですが、例えば消化器科であれば内視鏡検査・処置件数・呼吸リハビリ患者教育時間数、整形外科であれば手術件数・入院オーダー数といったように各診療科の特性にあわせた項目を設定することが望ましいと考えます。 そこで、単純なトップダウンで項目設定するのではなく、医師の方々に対する評価基準へのコンセンサス作りという目的も含めて、ヒアリングを実施することをお勧めします。規模によっては、医師全員を対象とすることもあります。このヒアリングでのポイントは、「どのようなことを評価してほしいか」「どのような評価であれば、納得感があるか」ということになります。 大切なことは、業績の良し悪しを厳密に評価することよりも、業績向上を医師が意識してくれる体質になることを目指すほうが業績評価の導入段階はスムーズに進みます。 そのため、業績評価の項目は、数項目程度にし、あまり多くの項目を設定しないこともポイントです。また、数値目標だけを業績と捉えずに、可能であれば定性目標も組み合わせることも重要です。 最後に、業績評価を行うと医師が不満を持つかも知れないと誤解しないでいただきたい。一般的には、医師が不満を持つのは業績評価の結果が報酬に影響を与えるという仕組みの合理性に不満を持つことが多いです。 さらに、医師と業績目標段階に入ってきた場合、次に出てくる課題は「どうしたら達成できるか方法を教えて欲しい」という要望です。 目標は設定したが、データもフィードバックされない、コスト削減の方法も示されない、診療報酬のロジックのフィードバックされない・・・などの状況では目標も机上の空論に終わってしまいます。 業績評価を導入する場合、いかに医師の目標達成を組織としてバックアップできるかが重要といえます。 近年、医師の評価についての相談が増えてきていますが、単純な業績評価を導入する前に病院としての医師マネジメントに関する考え方を整理していただきたいと考えます。 医師の業績評価の導入という単一的な視点ではなく、医師のマネジメントなくして病院経営の発展はないと考え、業績評価の導入をキッカケに医師マネジメントを通じて質の高い医療サービスの実現、病院目標・方針の達成を目指していただきたいものです。 回答日:2015/08/20 0
業績評価を実施する場合、その項目の設定に関しては大きく以下の2つの設定方式が想定されます。
①成果項目設定方式
1点目は、結論としての医業収益(利益)を評価する方式です。医業収益を上げる方法などについては、当人の責任範囲とする考え方で、収益を上げるプロセスは当人の責任という考え方になります。
②重点項目設定方式
2点目は、 患者数、診療単価、手術数、紹介数、検査件数など、病院の戦略目標の達成や医業収益の構成項目を重点 化し、評価項目とする方式です。各評価項目が高い評価になれば、必然的に戦略目標の達成や医業収益の向上につながるという考え方になります。
医師の業績評価にあたっては、例えば外科のように売り上げを上げやすい科もあれば麻酔科のように売り上げを上げにくい科も存在するため、各診療科の特性を考慮した上で、上記2点目の重点項目設定方式で設定することが重要です。
診療科に求める内容は各病院の事情によるところも大きいですが、例えば消化器科であれば内視鏡検査・処置件数・呼吸リハビリ患者教育時間数、整形外科であれば手術件数・入院オーダー数といったように各診療科の特性にあわせた項目を設定することが望ましいと考えます。
そこで、単純なトップダウンで項目設定するのではなく、医師の方々に対する評価基準へのコンセンサス作りという目的も含めて、ヒアリングを実施することをお勧めします。規模によっては、医師全員を対象とすることもあります。このヒアリングでのポイントは、「どのようなことを評価してほしいか」「どのような評価であれば、納得感があるか」ということになります。
大切なことは、業績の良し悪しを厳密に評価することよりも、業績向上を医師が意識してくれる体質になることを目指すほうが業績評価の導入段階はスムーズに進みます。
そのため、業績評価の項目は、数項目程度にし、あまり多くの項目を設定しないこともポイントです。また、数値目標だけを業績と捉えずに、可能であれば定性目標も組み合わせることも重要です。
最後に、業績評価を行うと医師が不満を持つかも知れないと誤解しないでいただきたい。一般的には、医師が不満を持つのは業績評価の結果が報酬に影響を与えるという仕組みの合理性に不満を持つことが多いです。
さらに、医師と業績目標段階に入ってきた場合、次に出てくる課題は「どうしたら達成できるか方法を教えて欲しい」という要望です。
目標は設定したが、データもフィードバックされない、コスト削減の方法も示されない、診療報酬のロジックのフィードバックされない・・・などの状況では目標も机上の空論に終わってしまいます。
業績評価を導入する場合、いかに医師の目標達成を組織としてバックアップできるかが重要といえます。
近年、医師の評価についての相談が増えてきていますが、単純な業績評価を導入する前に病院としての医師マネジメントに関する考え方を整理していただきたいと考えます。
医師の業績評価の導入という単一的な視点ではなく、医師のマネジメントなくして病院経営の発展はないと考え、業績評価の導入をキッカケに医師マネジメントを通じて質の高い医療サービスの実現、病院目標・方針の達成を目指していただきたいものです。