「マタニティハラスメント(マタハラ)」とは働く女性が妊娠・出産を理由に解雇・雇止めをされることや、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントです。「セクハラ」「パワハラ」に並ぶ3大ハラスメントの一つとして注目されています。

マタハラの1つとして、妊娠・出産、育児等を理由とする不利益な取扱いが挙げられます。
妊娠・出産、育児等の事由を「契機として」、解雇や降格、減給などの不利益取扱いを行った場合は、原則法違反となりますので注意が必要です。
　原則として、妊娠・出産、育休等の事由の終了から1年以内の不利益取扱いは「契機として」いると判断されます。

　先日、妊娠を理由に女性を解雇し、国の是正勧告に従わなかったとして、厚生労働省が茨城県のクリニックの実名を公表した、というニュースが流れました。「マタハラ」を行った事業主の実名が公表されるのは初めてのことです。
「妊婦はいらいない」と女性を解雇、その女性が労働局に相談に行き、労働局からの是正勧告があったにも関わらず、解雇を撤回しなかったため今回の実名公開となったようです。

多様な働き方への対応、女性が安心して働き続けられる社会の実現が求められる中で、「マタハラ」は今後ますます注目されるものと考えます。
妊娠・出産の報告があった従業員や育児休業から復帰した従業員の配置転換・仕事内容の決定は慎重に行う必要があります。

就業規則の服務心得(職員が守るべきルール)や懲戒事由にマタハラについての記載はありますか?
マタハラと思われる発言や言動があった場合でも、就業規則に記載がないと懲戒処分を行えない場合も考えられます。
なお、最近では「セクシャルハラスメント防止規程」、「パワーハラスメント防止規程」に続いて、「マタニティハラスメント防止規程」を作成する法人も増えています。「セクシャルハラスメント防止規程」、「パワーハラスメント防止規程」を作成されていない場合は、「ハラスメント防止規程」としてハラスメント全般について定義やルールを作成し、快適な職場環境づくりに役立てることをお勧めしております。